不思議の国のお伽噺。
『…アリスがあの時信じてくれたから、今の俺があるんやで!!
ほんまおおきに!』
よく笑い、喋るようになった彼。
私は、彼のこと、今は帽子屋って呼んでいる。
…だって、孤児院の名前が
イカれ帽子屋のお茶会会場、だから。
そこの院長の貴方は、お茶会の主催者=帽子屋なんでしょう?
彼とたくさん話して、彼は本当は独特口調だと知った。
あのときは、緊張してたらしい。
そしてまた、吸い込まれていった。
新たに流れ始める記憶。
『私たち、友達よね!』
『えぇ、友達よ!』
六人で手を繋ぎ、歩く。
楽しそうに笑っていた。
近くの椅子に座り、持参したお弁当を食べ始めた。
『シンデレラ、あんたちゃんと足閉じなさいよっ』
『うるさいわねっ、赤ずきんだって食べこぼしひどいわよ?』
言いあいを始める二人をよそに、四人は昼食を交換していた。
『かぐやのそれ、美味しそうね!私に少しちょうだい?』
『これか?これは饅頭といってのぅ、人魚姫の口にあうかはわからないぞ?』
『いいのっ、私は魚以外ならなんでも食べるから』
『やっぱ人魚だから、魚は共食いになるのねwあー眠い…』
『眠り姫あんたいつまでもぐーたらできないわよ』
『うるさいよシンデレラ…アリスもなんか食べなよ』
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