不思議の国のお伽噺。
「それに、最近は洪水やら津波やらの警報ひっきりなしだったぞ?
大丈夫か?」
「うんっ!」
私が笑顔で言うと、おじさんも笑った。
彼は、この川を管理するおじさん。
名前はないっていってたな。
ニット帽をかぶって、あの大きなキノコの上に座って、川を渡るときにお金をとっている。
「じゃあ、アリスが帰ってきてくれたお礼に、今日は川を渡るのタダにしちゃおう!」
「ほんとー!?
さすがおじさん!」
おじさんに誉めてもらうのが、昔からずっと好きだった。
労ってくれる目も、単なる同情じゃなくて、本当に心配してくれる、優しい目で。
辛くなったとき、てんちょーが忙しそうなときは、おじさんのとこ来て泣いてたなあ。
「よし、船の準備ができたぞ!
チェシャ猫が漕げよな!」
「当たり前じゃないですか…」
ニコニコ笑う、おじさん。
少し苦笑したチェシャ猫。
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