ただ一人、君を待つ。



「奏君??」

『ははっ、他の誰だよ。 あっ、美也ちゃん??』

「…他の誰だよ」

『あはは、パクんな』



優しい笑い方。
優しい声。
優しい雰囲気。

全てに惹かれた。



「なんで電話してきたの??」

『え…えーっと…そりゃ…電話したかった…っつうか…美也ちゃんの声聞きたかった』

「あは…なんだそれ。 てか、美也でいいから」

『いや! 俺、女の子呼び捨てするの苦手でさー…美也ちゃんって変わった名前だよね?? 可愛い』



あたしは、一気に顔が熱くなった。
可愛い…って…。



「んーん、普通。 それより奏君の方が変わった名前だよね」

『はぁ?? ふつーだろ!』

「あはは…奏君ってさぁ、どこ高??」



そう聞いた途端、沈黙が流れた。
…聞いちゃまずかった??



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