ただ一人、君を待つ。
「やっべぇ、ヤンキーたまってますけど」
ひとみが歩道橋でいきなり足をとめ、眉間にシワを寄せたから、あたしも足をとめ駅の方を見ると、確かにヤンキーの山。
軽く、7~8人。
「…気にすんなよ」
あたしはそういって、また淡々と歩き始めた。
「ちょっ…みーやーち! 待ってよ~、かっこいい人いるかな」
「興味ない」
ひとみもあたしも、春休み前に彼氏と別れ、お互いフリー生活を楽しんでいた。
彼氏の居なくなった生活は少し寂しいところがあるけど、別に新しく彼氏を作りたいと思わなければ、気になる人もいなかった。
「あっ君たち何してんの~??」
ヤンキーの山を通り過ぎようとした時、案の定そのヤンキーの1人に声をかけられた。
「…学校の補習で~」
声をかけてきた男は、市内の工業高校の制服を着ており、同じ制服を来たヤンキーが他に2人ほどいて、あとはセットアップだの、流行りのアメリカンカジュアルだの、見るからに派手な格好に派手な頭をしていた。
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