僕は君を追う
気づくと、真っ白い天井が見えた。
横には泣いてるお母さんとお父さん。
私が目を覚ましたことには気づいていない。
すると、こんな会話が聞こえてきた…。

「お父さんの転勤直前だったのに…」

そうだった。私たち家族引っ越すんだった…。

「翔太くんの家の隣に住むってことになったのにな…」

そうだったんだ。翔ちゃんの隣の家に住むんだ…。

「でも香奈枝、翔ちゃんに会えないとか言うんじゃないかしら…」

そうだよ、会えないよ。

「言っちゃあ悪いけど、香奈枝の記憶がなくなってたら…」

私の記憶がなくなってたら…何?

「普通に生活を続けられるのにな…」

この言葉でハッと思いついた。
私、記憶のなくなったフリをしよう-----。
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