僕は君を追う
「香奈枝ー!居るかー!」

聞こえてきたのは、1番会いたくて、でも、1番会いたくもなかった人の声だった。

「…」

私は返答をしなかった。
いや、出来なかったんだ。
でも翔ちゃんは私を探しに来てくれた…。
その事実だけが嬉しくて。
だから私は声を発した。

「翔…ちゃん…」

本当にか細い声しか出てこなかった。
喉がきっと泣きすぎで、叫びすぎで枯れていたからだと思う。

「香奈枝!?何処だ!?」
「翔…ちゃん…」

足音がドンドンこっちに向かってくる。

「か、香奈枝!!」

そして翔ちゃんは私を見つけてくれた。
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