僕は君を追う
その日の夜、母さんが俺をリビングに呼んだ。

「翔太、大事な話があるの。聞いてくれる?」
「何?俺宿題やらなあかんねん」
「ごめんね。お父さん、話してあげて」

母さんもと父さんも暗い顔をしている。

「あのな、翔太…父さんの転勤が決まった」
「てん、きん…?」
「あぁ。大阪から離れることになる」

ショックで言葉が出てこなかった。
でも逆に嬉しいとも思った。
父さんは結構やり手のサラリーマンで会社での評価も高いらしい。
だから父さんの仕事ぶりが評価されたんだと思えたから。

「良いよ、父さん。俺も転校するから」

俺は柔らかい笑顔をしながら言った。
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