僕は君を追う
でも俺は少し怒りの気持ちが込み上げてきた。

「お願いやから…ほんまのこと教えてや…」

俺は振り絞るように言った。
そうすれば香奈枝も言ってくれると思ったから。

「翔太の近くに行きたかった…」
「え?」
「ほんまは大阪に居ることの方がええと思った」

香奈枝は俺の目を見て話し始めた。
その目は真剣そのもので、俺は引き込まれそうになった。
さっきまでの怒りの気持ちも忘れて…。

「じゃあなんで?」
「前にもね、この前みたいのことがあってん」

"この前のこと"
これを指す意味はすぐに分かった。
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