僕は君を追う
そして香奈枝からは俺の知らなかった過去を聞くことになった。

「私、翔太と離れてから結構辛かったんやで?」

香奈枝はエヘヘと笑った。
俺は辛くて顔を俯かせてしまった。
それでも香奈枝は気にせず真剣な顔をして話を続けた。

「それで、色んな男の子と付き合った」

そんな言葉を聞いて俺はすぐ顔を上げた。

「だけどね、キスとか出来なかった」
「なん、で…」
「しようとすると翔太の顔が浮かんだ」

「アホらしいよねー」と言って香奈枝は頭をかいた。

「それでどうしたんだよ」

俺は香奈枝の"翔太の顔が浮かんだ"という言葉を無視して聞いた。
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