僕は君を追う
すると香奈枝は俺の無視をさらに無視をして言い放った。

「そしたら、元カレにレイプされたの!」

ドアノブを回そうとした俺の手が止まった。
ドクンという心臓の音が鳴った。

「よく分からへんかったけど…別れたこととキスさえしてくれなかったことに逆上したみたい」

ふと香奈枝を見ると、全身が震えていた。
怯えている…俺に、過去に…。
俺はやはり香奈枝を支えるべきなのかも知れない。

「だから、何?」

でも口から出てきた言葉は冷たいものだった。

「だからって…」
「それが俺を利用した理由になると思ってるの?」

自分でも分かった。
冷たい目をして香奈枝を見てることを。
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