ク ロ
もしも…

あの、か細い鳴き声がミィミィでなくてクゥンクゥンだったら、私は迷いもなく外へ飛び出していたかもしれない。
躊躇いなく抱き上げて、暖かい部屋の中で雪に濡れた体を乾かし、冷蔵庫をあさって腹を満たしてやれるものを探したかもしれない。
然る後にペット禁止の規則を思い出し、途方に暮れていたかもしれない。
私は犬が大好きだった。

猫は大嫌いだった。

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