ク ロ
次の日も
その次の日も
クロは帰ってこなかった。



私の懸念も迷いも無くなったわけだ。
朝の5時に起こされることもない。
すり足で歩くことも、
絨毯に這いつくばって、粘着コロコロを掛けることもない。


ただ…
足の裏に感じたあの柔らかさだけが、いつまでも残った。

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