ク ロ
たまたまその日、
私は仕事帰りにヒロコのうちへ寄った。
借りていた、オノナツメのコミックを返しに行ったのだ。

ヒロコのうちは、文字通りお通夜みたいだった。

近所の人までやって来て、お悔やみのような言葉を繰り返していた。
長く生きたペットの存在感は、けして人にひけをとらないのだ。

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