もう一度、君と
――当日


俺は目の前の光景を疑いながら必死で冷静を装う。

なぜならバスに乗り込んだら、いるはずのない楠木が隣の席に座ってんだから‥


「あ、あれ?なんで?」

焦って上手くしゃべれない。

初会話なのに情けねぇ‥

そんな俺に構わず話す楠木。


「あ、ごめんね!席、勝手に替わっちゃって。
香奈ちゃん酔いやすいらしくて前のほうがいいんだって。」


あー、そういうこと。
めちゃラッキーじゃん!


座る直前、チラッと見えた和人はこっちを見てニヤニヤしてやがった。


「ってのは先生への口実でね」

「え?」


「香奈ちゃん川田くんの隣に座りたいらしくて。
だから内緒ね!」



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