もう一度、君と

終わりへの始まり

昨日、瑠楓には急に和人と遊びに行くことになって、今日のデートが無理になったと伝えた。

後ろめたさから前日まで
言いだせなかった俺に、
“じゃ、亜美と買い物にでも行って来るね”と明るく言う瑠楓に、申し訳ないと思いつつも、瑠楓の為なんだと自分に言いきかせた。

待ち合わせ場所である駅前に着いた時、すでに大木はいた。

俺を見つけた途端、
笑顔で走り寄ってくる。

「彼女面かよ‥」

そう呟く俺の声は
もちろん届いていない。

どこに行くのか全く考えてない俺に、すでに購入した切符を渡してくる。


用意されたら断れねぇじゃん。
ってか真冬に海かよ‥


夏休みに何度か瑠楓と行った海。
スタイルのいい瑠楓を他の男の目から守りながらも楽しかったよなぁ‥と、大木の話を聞き流しながら思い出していた。




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