ハフピスライン
「確かに最初は少し会話したか。あの時は運よく一人で散歩していたからな」
「それが疑問だった。何故魔王が一人で散歩している。しかもあの時にいたのは魔王の領土ではなく人間側の領土なのに」
「散歩は好きなんだ。まぁオレのテレポートがあれば問題はない。それに昔はよく黙って散歩に行っていたものだ。ジョーカーがものすごい心配するのは困るけどな」

なんとなくだけど魔王がいなくなっただけで慌てるジョーカーは想像がつく。
きっと魔王のことを大声で叫んでいるのだろう……そういえば。

「魔王」
「なんだ」
「何故みんなから魔王と呼ばれている? 名前くらいはあるだろう」
「確かにトリアイナには言ってなかったか」

魔王はそうゆうと少し考えるように戸惑う。
名前を言うことに抵抗があるのだろうか。

「まぁ問題はないだろう。それにジョーカーやヘルバーンは知っている。オレはフレイル・グローアースだ。二人きりの時ならばフレイルと呼んでもいいぞ」
「断る」

しかしなんだろう? フレイル・グローアース。グローアースの名は聞いたことがあるようなないような……思い出せない以上、似ている名前があったのかもしれない。
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