ハフピスライン
魔王は結界があると言っていたが私はそれに引っかかった感じはしない。そこまで魔力耐性がないわけではないが、魔王に魔力をもっていかれたのが効いたのだろう。

確かハーフ以外にはここは廃墟にしか見えないと言っていたが、私の前には思いっきり門が立ちはだかっている。
何か言えばいいのだろうか。

「お前、ここになんの用があってきた」

低い男の声。警戒しているのは当たり前のことか。相手がハーフだと分かっていても警戒はすることはいいことだろう。

ふと、いつもの口調で言いそうになったが魔王の言葉を思い出し、昔を思い出しながら話す。

「私、ハーフで、ずっとハーフの村を探しています。噂ではこの当たりと聞いて、そして村はここにしかありません。だからここがハーフの村ではないか思ったのですが、もし違うならば素直に去ります」

うまく言えたな。昔はそんな口調だったのかとスラスラ言えた自分に驚く。

「なるほど、しかし、ここ付近がハーフの村だと誰から聞いた?」
「誰からではなく、本当に噂でしか聞いたことはありません」
「分かった。どうやら本当のようだ。良かったな、ここがお前の探すハーフの村だ。歓迎しよう」

そういって現れたのは魔法陣。てっきり門が開くと思った私は戸惑った。
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