ハフピスライン
「無駄だよ。ここでは私達は一切の魔力を封じられている」

No111が言う。私が魔力を解放しようとして、魔力が回復していないことに気がついたのだろう。

「どうして魔力が回復されない」
「ここに運ばれてくる時、恐らく魔力を吸収されたと思う。あの時にすでに魔力は全て奪われている。だから魔力を取り戻さない限り、つまりここのボス、ヤンキルガ・サイスマスを倒さない限りは不可能」

ヤンキルガ・サイスマス! そういえば魔王がその名を言っていた。けどハーフの村に夢中になって肝心なことを聞いてなかった。
もしかすると魔王は全て分かっていて私をこのハーフの村に潜入させたのか。

――だけど、ここに来るときの結界。あれではすぐに侵入がバレるが魔王なら問題ないだろう。あのテレポートもあるし。

問題はどうやって魔王にピンチを知らせるか。その手段が今の私にはない。
そうなると時間しかない。三日過ぎれば最低でも魔王が来るだろう。しかしこうして捕まっている以上、早いうちに助けを呼びたい。調教などさせられたくない。

「あ」

いきなり声を上げるNo111。

「どうした?」
「誰か来た。多分、132の迎え」
「私の迎え?」
「最初は必ずサイスマスによる品定めがあるから」
「品定めとは?」

私が質問したのと同時に聞こえる足音。
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