ハフピスライン
「サイスマス様、先ほど捕らえた女のハーフを連れてきました」

丁寧にノックをして魔物は扉越しのサイスマスに話しかける。

「そうか、ならば入るがよい」

少し甲高い声で見下すような言い方をする男の声。これがヤンキルガ・サイスマスの声なのだろう。

そうして中に入るといたのは私を見つめる椅子に座った男。
こいつがヤンキルガ・サイスマス。ハーフを奴隷にする下劣な男か。なるほどやはり、貴族服を着こなせていない。なんというだらしなさ、これならジョーカーの方がだいぶマシだろう。

「こいつか、なかなかだ……」

椅子から立ち上がり私を舐めまわすように見る。

なんとも汚らしい。魔力さえあればすぐにでも拘束を振りほどき、そして一発この男の顔面に右手を付き刺せるというのに。

「残念ながら魔力の吸収値が100程度。普通のハーフ以下のクラスか。それでは護衛には向かないだろう」

わざと聞こえているように言っているのだから一人事ではないのだろう。

しかしこの私が普通のハーフ以下というのはどうゆうことだ。値の考えはどれほどなのか分からないが、私はそれなりに強いと自覚している。そうでもなければトロワポテゥーなどにはなれない。
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表紙・目次

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