ハフピスライン
「何を言っているんですか。例え、普通のハーフ以上でも護衛になどするつもりはないではないですか」

突然後ろで私を押さえているヒューマ型の男が笑いながら言いだした。
それに反応するかのようにもう一人のヒューマ型の男が笑う。

――しかし、それよりも酷いのがサイスマスの笑い。
心の底から悪意に満ちた笑みで、その眼に映る私は恐らく物にしか見えていないだろう。それもサイスマスにとって都合のいい物。

「当たり前だ。こんな上玉、みすみす戦闘員などにしてたまるか。こいつなら奴隷オークションでも歴代の最高額を叩きだす。ふふふ、あははははははは……」

高らかに大笑いをされたからムカつくのではない。もっと根本的に、その存在自体にムカついている。
しかしこの怒りの着火点はサイスマスの『奴隷オークション』という未知の単語ながらに想像が出来てしまったこと。

「下種が……」
「あ？」

目は逸らさずに真っ直ぐサイスマスに向けて言う。
すると笑っていたサイスマスも笑うのを止めて不機嫌な表情で私を見る。
< 142 / 195 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop