ハフピスライン
「ほら、今度サイスマス様に舐めた口聞いたら殺すぞ! 俺達にまでとばっちりが来る」

乱暴に放り込まれる。

この牢獄に来る前に薬物の匂いが充満する部屋に連れて行かれた。そこではあやしげな三本の注射を打たれた。
その時はなんの薬だか分からないけど、今ならなんとなく分かる。高揚効果のあるもので、なおかつ体全身が熱い。恐らくこれは精神を滅ぼす麻薬の一種。まずは抵抗出来ないように精神から破壊するということか。

ますます考えることが下種だなサイスマス。

牢獄の中には111はいなかった。
だけど少し待てば私と同じように乱暴に放り込まれた。
しかしその全身はびしょ濡れで息も荒い。まるで溺れた後のような感じだった。

「次に逆らえば殺す。ゆっくりゆっくり公開処刑で殺すからな」

ヒューマ型の言葉から、どうやら111は何らかの抵抗をして罰を与えられたようだ。私からみればその抵抗はどんなことでも素晴らしいものだろう。

「大丈夫か」
「ごほっごほごほ……」

しばらくせき込む111の背中をさすりながら、落ち着くのを待った。
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