ハフピスライン
「な、なんだこれは……」
「あ、あっ! いや」

ルルシーが苦しんでいる。
いや当たり前だ。例え薬物により精神崩壊を起こしていても、全身を燃やされれば認識して、苦しむ。

これが私の放出した炎なのか? 戸惑いながらも私は消そうとするが消えない。まずつけ方も分からなかったのに消し方を知る由はない。

しかし、白い炎は勝手に消えた。
見た感じルルシーには火傷の跡はないし外傷も見えない。

「嫌ぁぁ!! 消さないで。もっと薬、薬を下さい! やめて思い出すの。嫌なの……」

薬物が体内から消えたのかルルシーが突然悲鳴を上げる。
両手で髪を毟り、さっきよりも苦しんでいる。その姿を私は唖然として見ることしか出来なかった。

もし、さっきの炎が私なら、なんて愚かなことをしたのだろう。
ルルシーは薬によって精神崩壊を起こしたのではなく、逆に薬によって最終的な精神を保っていた。私はそれを絶った。

「すまない」

薬物の効果がないということは気絶させることが出来るということ。

私は一言謝ってからルルシーに気がつかない一撃で気絶させた。
力なく倒れるルルシーの体。それを持ち上げ風通しの少しでもいい場所に運ぶ。

私も床に腰を落ち着かせる。
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