ハフピスライン
「脱獄者あり。脱獄者あり。2階肉体強化調教室からNO133が脱獄。全員2階に向かいただちに捕獲にあたれ」

脱獄者? しかもナンバーが私の次……ということはあの男か。

「2階なら俺達が行く必要はないな。階段まで多く施錠されているし、門番も何人もいる」
「そうだな。どうせ捕まるだろう。どうせ脱獄するなら1階ですればいいものの。そうすれば少しは脱獄の気分を味わえたのにな」
「どっちにしろ、どうせサイスマス様の結界からは出られないけどな」

笑いながら会話する二人。見た感じでは本当に問題ないのだろう。捕まれば処刑される。しかも以前ルルシーの言っていた最悪の公開処刑。
恐らくサイスマスの結界のことを聞いていないのだろう。もう少しまてば魔王が来たものの。

「とりあえず異常事態だけど、こいつはどうするんだ?」
「全員向かわないといけないからもう一度、牢獄に入れないといけないんじゃないか」
「でも、行く意味がないならちょうどいい。こんな上品、めったにない。騒ぎの間、遊ぶか」
「いいな。けどばれたら殺されるぞ?」
「大丈夫だろ。どうせ生意気な口を聞いたから気に入られてない」

まずい予感はしていた。
上が上なら部下も部下か。下種の集まりでしかない。

男達は私を牢獄に戻すことはなくそのまま壁に押さえつける。
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