ハフピスライン
けど後のことを考えてなかった。子供でも知っていること、馬は急に止まれない。そして飛び出したばかりでオレは動けない。
このままだと衝突するが乗馬している人が馬に慣れているのか、上手にオレを避けて止まった。

「こらーお前、何をしている!」

警備員が一斉に集まってオレを取り囲む。

「ち、違うんだ。オレはどうしてもアフランシールに入りたくて……」
「危険行為だ拘束する!」
「まぁ待て待て。そいつはちょっとした知り合いだ。放してやってくれ」

なんか聞き覚えのある声と口調が聞こえる。

「知り合い? ですか。貴方がそうゆうのでしたら」

一言で警備員は取り囲むのを止めて離れる。
すると馬に乗っていたのは……。

「じ、ジーク!? なんでお前がここに?」
「んなことどうでもいい。お前そこまでしてアフランシールに入りたいのかよ。じゃ乗れよ。こんな所で時間食えないしな」
「あ、あぁ」

時間がないというのは分かる。大人しくオレは馬に乗ることにした。

「馬ってどうやって乗るんだ?」
「適当に跨がれ」

絶対に間違ってる。確かに後に立つと危ないんだよな。馬なんて貴重すぎて乗ったことない。

「おら、さっさと乗れ」

無理やりオレを馬に乗せるとジークは鞭を打って馬を走らせる。

「や、やめろ。せめて何か掴ませろ」

そんなオレの言葉に聞く耳もたずにジークは馬を走らせた。
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