ハフピスライン
「さて、これで最後だろう。残った魔力では空間回帰は使えない」
「ぐ……」

サイスマスは膝まずいて魔王を見上げている。その焦りの表情から本当にもう空間回帰は使えないのだろう。
やっと復活即死の繰り返しから抜けられたサイスマスだが、そこに待っていたのは当然の絶望のみ。

「空間回帰こそ使えなくても治療系は出来るか……」
「……っ」

魔王は言い終わるや否やすぐさまサイスマスの体を黒い炎が突き刺さる。しかし炎上はすることはない。これはただ突き刺すのが目的なのだろう。
そして魔王の思惑通りサイスマスは回復した。いや、回復するしかなかった。

「さて、これでチェックメイトだな。どうする?」
「く、この俺様が……ここまで追い詰められるとは。しかし、俺様を殺せば残ったハーフ達はどうする? 行くあてもなくのたれ死ぬのがおちだぞ」
「安心しろ。今、カオスワルドにはトリアイナがいる。ハーフは保護することが出来るんだよ。全員ちゃんと救ってみせる」

それを聞けただけでも良かった。魔王はハーフを救うつもりだ。
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