ハフピスライン
まさか……オレは動いていた。

「待て! ジーク!!」

オレはジークに体当たりをして振り下ろされた剣の軌道を変える。間違いなくオレが入らなければあのハーフの女は死んでいた。

「何すんだよ」
「それはこっちのセリフだ。あそこで魔術を使ってジークの勝ちだろ? 止めを刺す必要がないだろ」
「ふざけるな。敵に情けをかけられて生きていけるものか」

ジークへの言葉をハーフの女が返す。

「何言ってるんだ。お前は魔物じゃない人間なんだ。そこまでする必要ないだろ」
「何ふざけたこと言っている。お前たち人間が一番私達ハーフに対する扱いが酷いだろうが!」

ハーフの女の怒りが爆発する。大地は揺れ、持てる魔力全てを解放するつもりだろう。

「だから出てくるなって言ったんだよ」

ジークは立ちあがり離れた距離から剣を思いっきり振る。
 
オレは何をしようとしているか分からずそのまま突っ立ていたが降り終えた瞬間、ジークの剣先から放たれた魔力が刃となりハーフの女に向かっていく。

怒りで何も見えていないハーフの女は避けようとしない。あれを直撃すれば絶命、オレもこの距離からでは間に合わない。

「くそっ!」

接触してないのにオレは後悔した。これが戦いだと。けどそれでもオレは絶対にそんなことしない。
――――――しかしあの刃の魔力を突如現れた何者かが立ちはだかり、片手で振りはらった。
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