ハフピスライン
「餌候補か? 雑魚に用はない失せろ!」

咆哮は激しい炎となり、その口から放出される。
しかし男は逃げずして両手を突き出し、大男と同じように炎を放出する。
ぶつかり合う炎は消滅。

「なるほど、少しは魔力を使えるか。だがその程度でこのドラッシュラル・ヘルバーン様の前に立ちはだかるなど図に乗るな!!」

人は魔物と戦う術として魔力を秘めている。この力が唯一魔物に対抗できる力とされている。しかしこの魔力を扱えるだけの量を有するものは少ない。

それだけでも炎を生み出したこの男は強い……はずだろう。しかしトロワポテゥーの一人、ヘルバーンの前ではこの程度の力はないようなもの。

振りかぶった腕から放たれる風圧によるカマイタチ。それだけ男は無残にもその体を六等分にされ絶命した。

「酷い光景だ。貴様程度なら一突きで殺せただろう。こんなに人間風情の血でこの村を汚せば魔王様に貢献できないだろう」
「あぁ? 俺様に刃向った愚かな人間の末路には丁度いいだろうが! この村は俺様に任せられてんだよ、テメェの言う魔王様にな」

六等分にされた男を冷たい眼差しで見つめる男が現れる。
一体どこから現れたのかは不明。気がつけばいた。それほどこの男は静かだった。
もう一握りしかいない村人達。逃げきれたものはいない。隠れて身を潜めている村人が数名だけいる。
< 3 / 195 >

この作品をシェア

pagetop