ハフピスライン
ナナはハーフの中でも強く戦闘員として私も信頼している。力の制御が出来ているから本気を出せば相当な強さだろう。
昨日は本気を出していないため不覚にも黄金獅子に殺されそうになった。

「トリアイナ様!」

嬉しそうに返事をして私の元に来る。

「様は止めてほしい。私のことはトリアイナでいいと言っている」
「いえ、トリアイナ様が来てから魔物達からハーフが守られているんです。様以上の言葉があるならそう呼びたいくらいです。トリアイナ様は私達ハーフにとって神様なんです」

ナナは本当に嬉そうに話す。それほど信頼されていると実感できる。
戦いに巻き込みたくはないのだけど、ここでは戦えないものほど扱いが酷い。戦わないと強くもなれないこの世界。

一生守ってあげられないのだから、強くなって一人でも生きれるようになってほしい。
だからこそ私はハーフ達の神ではない。神であっていいわけがない。そんなことを言ったら、どこにいるかも分からずに誰かも知らずに私を拾ってくれた魔王は絶対の神になる。

それに私がカオスワルドに来たから、ハーフが生意気だと魔物達に言われるようになった。逆に謝らないといけないくらいかもしれない。

――――――しかし、ナナの表情を見ているとそうも言えず、ずっと何も言わずにいる訳なのだから、ハーフ達から『様』づけで呼ばれているのだろう。
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