ハフピスライン
「くっ」

こいつ早い。動きがかすんで見える。ヤバいぞこれ。

実力差は歴然。圧倒的にオレが不利。けどこれくらいで諦める訳にはいかない。
オレは突進してきた魔物に合わせてもう一発、魔弾を撃ち込む。残り22発。

「甘い!」

しかし簡単に避けられて持っていた武器、剣のような物を振り下ろしてくる。
オレはそれが見えているから避けるが、オレの魔弾はまだ“もう一つ”の目標に向かって発射されていた。

「ん?」

一回振り下ろした剣を引き上げ、そのまま一瞬止まったのを見るとオレの標的は最初から魔物二体だったのに気がついたのだろう。
魔力を溜めている時は隙が多い。だからこそこの突進してくる魔物がいる。守るために。

それを逆手に取っての攻撃。これは防御にいかないとダメだろう。
しかし魔物は笑う。

「ふ、その程度の攻撃無意味だ」

魔弾は魔力を溜めていた魔物に接触すると思いきや、魔力の壁の弾かれあらぬ方向に飛ばされた。

「何!?」

それに驚き、逆にオレに隙が出来てしまった。

気がついた時は遅かった。すでに目の前には魔物がいた。
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