ハフピスライン
殺られる。
そう恐怖した刹那。

「やれやれ、この程度か」

ジークの呆れた声が聞こえた。

「さて、行くか」
「そうだな」

ライキとヤクモの声も同時に聞こえた。
ある種、それは走馬灯かと思ったが違った。

オレを殺すはずだった刃は目の前で停止され、ジークの剣がそれ以上振り下ろされるのを阻止していた。

「ジーク」
「ったく、この程度の相手に苦戦すんなよ。もうちょいいけると思ったけどな」

弾き返して魔物を後退させる。しかし魔物の表情は明らかにキレている。

「この程度だと! ふざけやがって」

恐らくこれが本気の動きなのだろう。全く移動が眼で追いつかない。そしてジークも消えた。
周りで眩い閃光がするということは弾き合っているということだろうが、全然見えないから分からない。

「油断禁物だぜ。てかあっちも見てみろ、面白いもんが見られるぜ」

いつの間にかいたのか、横でライキが指差しながら言ったのは、さっきから魔力を溜めていた魔物だった。
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