ハフピスライン
それは遠まわしに死ねと言っているのか。オレは戦えない。いくら魔動式銃のトリガーを引いても魔弾は出ないんだ。
素手で戦う? 論外だ。やったことがない。

「やっぱ無理だってジーク」

もう返答はしない。
理由は答えるのがめんどいから。言わなくても理解する。

けど、駄目でも助けてくれるはず。それならやるだけやるか。

「わふぅぅ!」

甲高い遠吠えと同時に纏う魔力。逆立つ毛並みは炎のように揺らめき魔力を放つ。オレの魔動式銃に弾が残っていても勝てるかどうか分からない。

そんな相手に素手で立ち向かうしかないというのは無謀の他にない。
標的をオレに絞ったらしく、眼が合っただけで殺されたような感覚に合う。生きている感じがしない。

そして黒い狼のような魔物は初めからそこにいなかったように消え、気がつけばオレの全身には衝撃が走り、吹き飛ばされていた。

「がは」

壁に衝撃して無様に倒れる。どうゆう攻撃を受けたのかすら分からなかった。
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