ハフピスライン
「貴様ら、この私を怒らせたな。思い知るがいい!!」

着地して腹から赤い滴を垂らすがそれでも叫び、一気に魔力を開放する。
全解放と思わせる衝撃。ここにいてはいけない、もし自分に向けられているものなら数キロ先からでも逃げ出すだろう殺気。

オレは立ちあがっていた。それはもちろん逃げるために。

「ムリだ。こんなのに勝てる訳がない」

黒い狼から魔力を纏う狼は金色となっていく。

「安心しろ、オレ達は負けない」

今度はライキが肩を叩きながら言うが全然安心できない。一秒でも早く逃げ出したい。

「威嚇はそのへんにしておけ」

背後から聞こえた冷たい声はシュドウだろう。だけど背後から襲ってくる殺気は全面から感じる殺気とは全く違う。

逃げ出さないと死ぬ。それが全面の殺気だとすると、背後の殺気はすでに殺されている。
こんな殺気を飛ばせるなんて尋常じゃない。本当に人か疑わしくなる。

「威嚇とはどうゆうことだ」
「そのまんまだろ。お前はオレ達を殺すつもりはない。だからずっと威嚇し続けた。逃がすために」

ヤクモが軽々と話す。この殺気に動じることが全くない。
見ればジークも全く動揺しているようには見えない。

「お前達人間は我々魔物の餌でしかない。そんな貴様らを逃がすとでも思っているのか」
「思うな。だってお前、人間ずっと食ってないだろ。それで生きてるってことは、魔石を栄養として生きているってことじゃねぇ」

いつの間にかオレの傍にいたライキが金色の狼の隣にいた。
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