極道姫と僕の物語


教室に入れば――ほら。


まただ。


「なぁなぁ望月!やっぱり、お前さ――」


「僕と花澄先輩は、付き合ってないよ」


入学してからの2ヶ月。


この質問が絶えることはない。


これもすっかり慣れてしまったので、にっこりと笑って相手の言葉を遮って否定する。


「でもさー、めっちゃ氷室先輩と仲いいじゃんよー」


「…まぁ、ね。でも、只の先輩と後輩だよ」


「それでも羨ましー!」


僕は曖昧に笑って、自分の席につく。


一体、いつまで同じ質問を繰り返すんだ?


朝の挨拶もなしに、いきなりあれ。


テンションが下がること、この上ない。


まぁ、皆が羨ましがるのはわかるけど。


 
< 4 / 23 >

この作品をシェア

pagetop