【完】肉食系上司様〜獣族の女王と獲物の俺〜
「やだなあ…百足とかだったらどうしよ。」
俺は風呂から上がり、ヒノエさんの缶ビールで掌を冷やす。
しかし、その虫刺されは引くどころか、紫色の蔦を掌に描き始めていた。
「…まさか!」
俺は一瞬、名雪さんの顔がちらつく。あの、握手した時…
と、考えている余裕は簡単になくなり、頭の中は記憶で混濁し始めた。
砂嵐の中、暗い部屋の隅っこで泣きじゃくる女の子。
それを囲む大人。泣き叫ぶ女の子の身ぐるみを剥ぎ取るその瞬間、映像が途切れた。
ヒノエさん、ごめんなさい。俺、貴方の足手まといにしか、なれないみたいだ……。
俺は風呂から上がり、ヒノエさんの缶ビールで掌を冷やす。
しかし、その虫刺されは引くどころか、紫色の蔦を掌に描き始めていた。
「…まさか!」
俺は一瞬、名雪さんの顔がちらつく。あの、握手した時…
と、考えている余裕は簡単になくなり、頭の中は記憶で混濁し始めた。
砂嵐の中、暗い部屋の隅っこで泣きじゃくる女の子。
それを囲む大人。泣き叫ぶ女の子の身ぐるみを剥ぎ取るその瞬間、映像が途切れた。
ヒノエさん、ごめんなさい。俺、貴方の足手まといにしか、なれないみたいだ……。