【完】肉食系上司様〜獣族の女王と獲物の俺〜
魔王との話が終わり、魔王の部屋から出た途端、力が抜けて膝から崩れた。



「おい!」



扉の外で待っていたルキがすかさず俺の元へ駆け寄り身体を支える。



「なんだ…くそっ!俺は、立つことすら、魔王の前では出来ない!なんて非力なんだ…っ!」



やり場のない気持ちが口から零れた。



ルキは俺の片腕を肩に担ぎ立ち上がると、ふっと笑う。



「人間のくせに、お前は凄いよ。魔王様の前に立った瞬間、絶望で抜け殻になる者は少なくない。私も立っているのが精一杯なものだ。」



その言葉を聞いて少しだけ安心して、俺は瞼を下ろした。
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