【完】肉食系上司様〜獣族の女王と獲物の俺〜
「綺麗ね…。」



ヒノエさんは金色に瞳を輝かせ、俺の涙を人差し指で掬う。



「一片の濁りもない。こんな涙を流す者を、私は他に知らない。」



俺はそのヒノエさんの手を取り、強く握りしめた。



「俺もです。こんなに強くて美しい女性を、他には知りません。」



いつもだったら恥ずかしくて言えないことも、今なら言える。そんな気がする。



「大丈夫。私には、私の代わりに泣いてくれる人がいる。だから立ち止まらずに走れるわ。」



誰よりも、何よりも凛としたヒノエさんは、力強く、その瞳を光らせた。
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