【完】肉食系上司様〜獣族の女王と獲物の俺〜
運転する者がいなくなった車は、なおも動きつづける。



外は見慣れない光景が広がっている。



まるでサーカスのような空間というか、カラフルというか、言葉にしようがない。



「異次元に飛ばされたらしいわね。こんな荒業、悪魔か死神レベルの魔力がないと出来ないことね。」


冷静過ぎないか。いや、頼もしいが、足を組み換えるヒノエさんは冷静過ぎて優雅ささえ感じる。



ハンドルが急にグルグルと回りだし、車体が傾く。



「…っああもう!」



俺は自分の髪の毛を掻き毟ると、後部席から無理矢理運転席へ体を捩込み車を操作した。
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