【完】肉食系上司様〜獣族の女王と獲物の俺〜
『もう手遅れだから。』



『でも…!そんなのっ!嫌、だ!』



泣きそうになるクロエの頬を優しく撫でるアリアの手。



『ねえクロエ…どうせ死ぬなら、貴方に殺されたかった。』



『何を言っているんだ!死なせはしない!』



クロエは蚯蚓脹れを治した時みたいに、出血したところに力を集中させる。



でも、それでも出血の方が早くて、治療が間に合わない。



『糞!くそくそ!』



クロエはこの時、自分の非力さを憎んだ。



大事なものの命のひとつも守れやしない、自分の非力さを。
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