【完】肉食系上司様〜獣族の女王と獲物の俺〜
俺の記憶の違和感から、思い出すきっかけになったのは些細なものだった。



完璧主義者のヒノエさんは、もちろん忘れ物なんかしてない。



部屋もガラリと何もなくて、スーツも、ヒールも、化粧に使うビューラーさえも、何も残ってなかった。



だけど、ヒノエさんは、うっかり見落としていたんだ。



…………そう、梅酒の瓶を。



俺は梅酒が飲めない。あの味がどうもダメなんだ。



あれにハマって俺に買い溜めさせて飲んだくれていたのはヒノエさんただ一人。



空の瓶を片付けたことのないヒノエさんは、瓶だけうちに残して帰って行ったんだ。
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