【完】肉食系上司様〜獣族の女王と獲物の俺〜
外を歩くと、桜の木はもう緑色の若葉に生え変わり、さわさわと風に揺れていた。
ねえヒノエさん、今、貴方は笑っていますか?
最後の戦いからすると、貴方はキズキの罪を一緒に償うような言い方をしていたけれど。
だけど、愛する者、守りたい者のいるその場所で、貴方はきっと凛としている。美しくある。
俺はそう信じている。
だから、俺は笑うよ。辛くなったらちゃんと泣いて、そしてまた笑うんだ。
風のさわさわと流れる音が、なんだか、ヒノエさんがクスクス笑っているような、そんな穏やかな音に聞こえる。
それが気の所為じゃないことを祈り、俺は革靴を履いた足で、アスファルトを蹴り上げ進んだ。
【End】