【完】肉食系上司様〜獣族の女王と獲物の俺〜
遠退きそうな意識。見えるのは、伊佐木の気味の悪い笑顔。



ヒノエさんが結界を張ったおかげで命は落とさないけど、逆にそれが俺を苦しめる。



いくら強い力を受けても、俺は意識が飛んだり、戻って来たりを繰り返すばかり。いっそ、楽になれればいいなんて恐ろしいことが頭を過ぎる。



もう数え切れないほど飛んだ意識。その中で、俺は乱舞する『怒り』と『悲しみ』の感情が流れて来るのが分かった。



感情が大きすぎて、身体が破裂してしまいそうだ。



「う……があああ!」



遠くで自分が耳を塞ぎたくなるような醜い叫び声を上げているのを感じながら、俺の脳内にはアンティーク調の部屋の映像が広がった。
< 46 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop