【完】肉食系上司様〜獣族の女王と獲物の俺〜
誰かが遠くで泣いている夢を見た。
夢だって分かってるんだけど、覚めない夢。
女の子の泣き声が痛くて、痛くて痛くて。
覚めてくれ………!早く、こんな夢から!苦しい、痛い、嫌だ!
俺は、足掻いて足掻いて、ってか、この空間に俺の身体みたいなものはないんだけど
それでも出来る限り暴れた。暴れたつもりでいる。
すると、俺を救い出すような温もりが、身体を包み込んだ。
縋って、その温もりを手放さないように強く胸に抱きしめた。