拝啓、
「契約書なんか所詮
ただの紙だ。」
「うん。」
「でもあれに俺は励まされた。」
「うん..??」
「これがあれば舞とまた
付き合う口実があるって。」
「...うん。」
「でも本当は違う。
要らないんだ。
口実なんていらない。」
「う、ん。」
「好きだ。
だから付き合ってください。」
私は涙が溢れすぎて
声が出なくなった。
この一年、
この日が来るまで泣かないと
決めていたから、
私は一年分の涙を
今流している気がした。
だからまた
喋れずただただ
頷いた。
健太が私を強く
抱きしめた。
一年振りの温かさに、
私はついに
涙を止める術を
失った。