幼なじみは年の差7歳【完全版】


振り返った時、振り返ったことを後悔した。
いかにも遊んでそうな男が4人。まぁ、海にはそんな奴らが多いけど…。
大学生くらいの男たちが私の体を舐め回すように見ている。


「どっかの店員さん?大変でしょー俺らが手伝ってあげる」

「それとも仕事なんて辞めて俺らと遊ぶ?」


じり、と近づいてくる男たちにあっという間に囲まれてしまう。


「…通してください」

「なんで?いいじゃん遊ぼうよ」


ニヤニヤと笑う男たち。
どうすればいいだろう…男たちはみんな背が高くて私の姿はすっかり隠されてしまった。
…電車内での痴漢。それって、こうやって周りから見えないようにされてから触られるのかな…なんて思ってしまう。

じり、じり、と少しずつ場所移動させられ、周りからは全く見えない位置に来てしまった。


「お店の人心配してるかもね。
でも、遠くまで買いに行ってたって言えば平気だよね、きっと」


直後、男の一人がシロップの入った袋を奪い、そのまま私の手を動かないように固定した。
そして別の男がシャツの上から胸を揉む。


「やっ…離してッ…!」
「静かにしろよ、ったくうるせーな!」


叫ぼうとした瞬間に口を塞がれた。息が出来ない。苦しい。

…抵抗したけど男4人にはかなわない。
体の自由を奪われ、口も塞がれ、何も出来ない。
少し戻れば人がたくさん居るビーチなのに、少し離れれば誰も居なくなる建物の陰。

こんなこと、漫画の世界だけだと思っていた。
実際にこんなことがあるなんて、こんなことをされるなんて…。


(…漫画ならきっと、ヒーローが助けてくれるのに)


絶望しか無い今。静かに目を閉じてコトが終わるのを待つことにした。
いつかは終わる。私は人形。動かなければ平気。

そんな風に思っていれば、きっと平気…。

ギュッと目を閉じているのに、涙が溢れて止まらない。
< 109 / 278 >

この作品をシェア

pagetop