幼なじみは年の差7歳【完全版】
……。
二人で夕食を食べ、その後並んで壁に寄りかかる。
「ねぇ、あのお巡りさん…榊原さんとはどういう関係なの?」
「あぁ、ユウ兄?ちょっとした知り合いだよ」
榊原さんと同じように説明した良明。だけど、その後に言葉を続ける。
「去年の夏、海に来ていた時…たまたま知り合った。
あの人、プライベートで海に来てたらしいんだけど、ちょうどその時強盗があったわけ」
「あ、コンビニ強盗?あそこのコンビニだよね」
去年の夏。海岸沿いを少し行ったところにあるコンビニで起きた強盗事件。
田舎の町でそんな事件が起きたのは初めてだったから…少しだけ話題になった。
「そう、それ。
その時ちょうど居合わせたのが俺と…ミキ。
それからユウ兄」
…ミキ。良明の元カノで、美和と良明が別れるきっかけになった人。
当時はまだ付き合っていて、二人で海に来ていたらしい。
少し言いにくそうにしながらも、良明は話を続ける。
「…俺らは入り口の近くで、犯人はナイフを向けてきた。
だから動けなかったけど…俺らに気を取られてた犯人はユウ兄に気が付かなくて、後ろから取り押さえられ…ってわけ。
で、その後色々話して、意気投合。たまにユウ兄の家に遊びに行ったりしてる」
「へぇ…凄いね」
警察官に知り合いが居るなんて知らなかった。
それに、コンビニ強盗があったその時に良明が現場に居たことも初めて知った。
「俺って変な事件呼んじゃうのかもね」
そう苦笑する良明は、グッと背伸びをした後に言葉を続ける。
「お前が無事で良かった。
ユウ兄がさ、“到着するまで待て”って言ったんだけど、待ってたらお前確実にヤラれてたな」
「………。
ねぇ、それじゃあ少し前から私を見つけてたの?」
「うん。真新しい足跡を追った」
…じゃあ、私があいつらに触られるところを見ていたのかな?
それを見たから逆に、出てきて助けてくれたのかな?
よくわからないけれど、良明が居たから助かった。それに間違いはない。