幼なじみは年の差7歳【完全版】
7、理由(わけ)
――……。
その夜。
襖で仕切られた部屋で私たちは眠りにつく。
と言っても、とても眠れそうにはない。
やっぱり昼間のことを少し思い出してしまう。
目を閉じると男たちの声が聞こえてきて、身動きが取れなくなった時の恐怖…それを感じる。
「…明日からまた仕事なのにな…」
豆電球の明かりだけが照らす世界でポツリ呟くと、襖がゆっくりと開き、そこから顔を出した良明がニヤリと笑う。
「ちょっと!仕切った意味無いじゃん」
「まぁまぁお嬢さん、少し話をしようじゃないか」
お嬢さん、って…良明どっか壊れちゃった?
相変わらず笑ってる良明はTシャツとハーフパンツ姿でこちら側へとやってくる。
一方私は、夏用のパジャマ姿。
普段見せないような格好だから少し恥ずかしく、首のところまでタオルケットを引き上げる。
「ノーメイクだと誰だかわかんなくなるな」
「…放っとけ」
首より更に上、鼻のところまでタオルケットを引き上げる。
「まぁ俺はどっちのお前でも“お前だ”って認識してるから良いけど。
ちょっと話したいんだけどいいかな?」
…話?
なんだろう。昼間のこと?それとも、別の話?
「お前の過去についての話」
「………」
私の、過去――。
「昔を捨てたって言ったけど、何があったのかなと思って。
ほんとは聞かないつもりだったんだけど、やっぱり知りたいなぁって」
良明は笑顔だけど、さっきまでのニヤついた顔とは違う、優しい笑顔。
全てを受け止めてくれるような顔。
だけど私は…それを素直に受け取ることが出来なかった。