幼なじみは年の差7歳【完全版】
…美和のことは美和にしかわからない。だけど美和は、自分のことが思い出せない。
やっぱりツラそうな顔で笑った。
「…良明くんと付き合ってる記憶はあるんだけど、何かが変だった。
好きなんだけど、恋愛の好きとは違うような…妙な違和感。それはこれだったんだね」
「…ごめん。全部俺が悪いんだ」
「ううん、教えてくれてありがとう」
そう言った後、美和は私を見た。
…次は私が話をする番。
良明は、「麻実と冬馬さんが一緒に歩いてるところを見て美和ちゃんは俺に相談してきた」と言った。
私と冬馬さんが一緒に居た理由までは話していない。当事者である私が話すべき、と思ったのかもしれない。
「…冬馬兄ちゃんと麻実ちゃんは、恋人同士だったの…?
私はずっと知らなかったの…?」
それは正しい答えじゃない。
私は首を横に振り、ゆっくりと言葉を繋げた。
「…私と冬馬さんは、父親は違うけど母親が同じ。
わかる?私たちは、兄妹なんだよ」
私と冬馬さんは兄妹。
信じられない、といった…驚いた顔で私を見る美和に言う。
「私がまだ小学生の頃に冬馬さんと会った。本当だよ」
これは、紛れもない事実。
美和にずっと黙ってきた事実。
もっと早くに言っていれば、美和は事故に遭わなかったかもしれない…。