幼なじみは年の差7歳【完全版】
「…ごめん。せっかく来てもらったけれど、少し一人になりたい」
「…大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」
私から離れた美和は微笑みながら言葉を続けた。
「冬馬兄ちゃんが夜に来るの。
その時、どんな顔すればいいかわからなくて」
…戸惑い。やっぱりそれを感じているみたいだ。
美和を一人にするのは少し心配だったけど、その日は帰ることにした。
「大丈夫だよ」と言った美和を信じて…。
帰り際、良明はバイト代を美和に渡そうとした。
だけど美和は受け取らず…封筒に入れられたバイト代が、二人の間を行き来する。
…話し合いの結果、美和はバイト代の3分の1を受け取ることになった。
「ごめんね、私何もしてないのに貰っちゃって…」
最後の最後まで美和は申し訳なさそうな顔をしていた。
良明は「いいんだよ」と笑いながら手を振る。
「じゃあ美和、またね」
「うん」
私も手を振り、美和の家を出た。
………。
「なぁ、明日からやる宿題。
10時くらいからでいい?」
「あ、うん」
「じゃ、図書館に10時な」
そうだ、明日からは宿題をやらなきゃいけない。
…良明と一緒に。
「今年の夏はお前とずっと一緒だな」
微笑みながら言う良明。その顔を見ると上手く言葉が出せなくなる。
胸がドキドキして、苦しくて、張り裂けそう…。
「…宿題見てあげるから、後で何か奢ってね」
なんとか出した言葉。
それを聞いたのに、良明はやっぱり優しい顔で笑ってる。
それを見て思う。
私は、良明が好きなんだ。
いつからかはわからない。だけど多分…好きなんだ。
もっとずっと、良明の笑顔が見たい。