幼なじみは年の差7歳【完全版】
体を起こしてそちらを見ると、冬馬兄ちゃんは心配そうな顔をしている。
どうしてそんな顔をしたのか、数秒後に気付く。
私、泣いていた。
「何かあった?」
優しい声。いつもと変わらない冬馬兄ちゃん…。
だけど私は、上手く話すことが出来なかった。
そんな私を見て冬馬兄ちゃんは少し考え、それから優しく頭を撫でた。
「全部聞いた?良明くんのことや、俺たちのことも」
「…うん」
「そっか」
それ以上は何も言わずそっと私の横に座る。
冬馬兄ちゃんはまだ何かを考えているようで、どこか一点を見つめたまま動かない。
その間に涙を拭い、静かに呼吸を整えた。
「ごめんね、ちょっとビックリしちゃって。
麻実ちゃんと冬馬兄ちゃん全然似てないのにね」
なんとか笑ってみせると、冬馬兄ちゃんも小さく笑った。
「麻実は…結構無理してる。だから多分、似てないと感じるんだよ」
麻実ちゃんが、無理してる?
…その意味がよくわからない。
だけど、私よりももっといっぱい麻実ちゃんを知っているから…冬馬兄ちゃんの言葉はきっと当たってる。
(私が知ってるのはホントの麻実ちゃんじゃないのかな?)
黙ったままの私に冬馬兄ちゃんは微笑み、それからゆっくりと口を動かす。
「美和に言っておきたいことがある。大事な話だよ」
隣に座る冬馬兄ちゃんは少しだけ強く私の手を握った。