幼なじみは年の差7歳【完全版】
おちゃらけてる身なりとは全く違う真剣な顔。
賑わってる場所なのに、良明くんの言葉だけが頭に入ってくる。
「俺と付き合わない?俺、マジなんだけどさ」
真剣な顔に気持ちが揺らぐ。
やっぱり私、流されやすい…。
でも、いきなり「付き合って」と言われて「はい、わかりました」なんて言えない、よね。
良明くんのことまだ何も知らないし…知ったからって付き合うとは限らないけど…。
とにかく、ここは流されちゃダメだ。
「…私、好きな人がいるの」
付き合いを断る為のウソじゃない、私の本当の気持ち。
私は冬馬兄ちゃんが好き。
「学校まで送ってくれるお兄さん?」
「っ…」
「…図星かぁ。俺、結構美和ちゃんのこと見てるんだ。
と言うか、自然に目で追っちゃってる」
苦笑気味に笑う良明くんはジュースを口に運び、それから小さく言う。
「好きな人を見ていたいってのは、誰だってそうだろ?
だから俺、美和ちゃんのこと見てたんだ。
“あの人のこと好きなんだろうなぁ”って思ってたけどさ」
…良明くんは、私を好きになってくれてる。
ずっと私を見ていたんだ。私と、冬馬兄ちゃんのことを…。
(なんだろう。胸の奥が熱くて、締め付けられる感じ…)
今日初めて話したのに、ドキドキは増すばかり…。
「有り得ない…」
私、良明くんのこと…凄く意識しちゃってるよ…。